ワキガ手術の基準!絶対失敗しないための判断方法とクリニック選定法
ワキガ臭が気になって人と会うのも外出するのも怖い。どうしようもない不安感と疎外感に悩まされ続け、もうワキガ手術をするしかないのかと悩まれているとしたら、少しだけ待って下さい。
実は手術するほどワキガ臭が強く不快な人はごくごく僅かなのです。高額な手術費用と身体にメスを入れるというリスクや痛みを伴っても、確実にワキガ臭が解決するのであれば手術する意味もあるかもしれません。しかし本当は手術が全く必要ないのに手術してしまったり、あるいは手術しても全く臭いが消えないと感じる人が少なくないのも事実なのです。
その理由と共に、ここではワキガ手術をする前に絶対知っておくべき手術概要やリスク、費用、手術後に伴う痛みなどと共にワキガ臭の感じ方は如何に心理的な影響が大きいかという側面も含めお話させて頂きます。そのうえでご自身にとって本当にワキガの手術が必要か判断する方法を提示しています。
そしてそれでも手術が必要と判断された方にはクリニックの選び方、手術はしないと判断された方については本質的かつ効果的なワキガ臭対策方法をご紹介して参ります。どうか最後までお読み頂きご自身をワキガの悩みから解放されることにお役立て下さい。
Contents
1.ワキガ手術はほとんどの人が必要ない
結論から申し上げると、ワキガ手術が必要な人はほとんどいません。日本人のワキガ体質の割合は10%前後と言われています。10人に1人という割合です。1割いれば満員電車に乗れば相当な確率で毎日ワキガの人に出逢うはずです。しかし実際はどうでしょう?多少体臭の強い人とはたまに出逢うことがありますが、どうにも耐えられない程のワキガ臭の人と出逢った経験はほとんど無いのではないでしょうか?
体臭外来専門五味クリニックの院長である五味先生によると「ワキガ手術に相談に来る患者さんの70%は手術の必要がないか全く臭っていない」そうです。いかに心理的側面の影響が大きいかが伺えます。
さらに欧米人のワキガ体質の割合は80%、黒人はほぼ100%と言われていますが欧米ではワキガ手術は殆どされることが無いのが実態です。日本人よりはるかに強いワキガ臭を放っている人が多い欧米ではワキガ手術をする人がいないのです。どんなハリウッドスターもワキガ体質であるにも関わらずワキガ手術をする人は皆無なのです。
ワキガ手術をおすすめ出来ない理由は3つあります。1.そもそもメスを入れて手術する程臭くなく本人だけが強烈に臭いと感じている可能性がある 2.手術しても全く効果がないケースがある。さらに後ほど詳しくご紹介しますが 3.手術をしなくてもワキガ臭を充分にケアする方法を知らない。という3つの理由です。
以上がワキガ手術をお勧めできない理由でありかつワキガ手術が必要な人はほとんどいない理由の概要ですが、詳しい説明の前に、ワキガ手術をして後悔しない為に手術前に必ず知っておくべき事が5つありますのでこの点からご説明させて頂きます。
2.手術の前に絶対知っておくべき5つの事
ワキガの手術をする前に必ず知っておくべき5つの事。それは正しい1.ワキガの知識と2.手術の概要、3.リスク、4.術後の状況や悩み、そして5.心理的要素がどう影響しているかという5つです。とても大切なことですのでひとつずつ確認しておきましょう。
2-1.ワキガ臭の原因と実態
2-1-1.ワキガ臭の発生原因
「ワキガ臭の発生原因は、アポクリン腺から汗が出ると、この汗の成分を好むワキガ菌(コリネバクテリウム属の菌)が繁殖することで特徴的な刺激臭が発生する」というのが一般的によく説明されているワキガ臭発生原因です。このワキガ特有の臭いはスパイシー臭や硫黄臭などの臭いですが実はこれらの臭いだけでは不快な臭いではないのです。
ではどうしてワキガ臭は刺激的で不快な臭いになりやすいか?というのが次にご説明する複合臭としてのワキガ臭の説明です。
2-1-2.ワキガ臭の実態は複合臭
アポクリン腺という汗腺(汗が出る穴)からどれくらい汗が出る体質かは個人差が大きく、たくさん出る人もほとんど出ない人もいます。しかしニオイが発生するのはアポクリン腺から出る汗だけが原因ではないのです。誰もが全身に分布するエクリン腺という汗腺があります。この汗腺から汗が出れば、この汗をエサに菌が繁殖し、菌の老廃物としてやはりニオイが発生します。
アポクリン腺の汗の成分を好む菌(ワキガ菌)とエクリン腺の汗を好む菌がいます。ニオイとは汗の成分(菌のエサ)とその成分をエサに繁殖する菌の種類によって発生するニオイ成分も異なっています。
ワキガ臭の実態とはアポクリン腺の汗を原料とするニオイとエクリン腺の汗を原料とするニオイ、さらに皮脂が酸化したニオイなどが入り混じった臭い、すなわちワキガ臭は必ず複合臭として存在しているのです。ワキガ臭は複合臭だということを知っておかないと、後ほど詳しくお話しますが、不快な臭いがエクリン腺の汗が原因だった場合、ワキガ手術でアポクリン腺削除をしても全く臭いが消えない!などということにもなりかねないのです。
2-2.ワキガ手術の概要
一般的な体臭にアポクリン腺の汗をエサにワキガ菌が繁殖する際に発生するスパイシー臭や硫黄臭などが混ざることで、いわゆる刺激的なワキガ臭となります。このためワキの下にメスを入れアポクリン腺という汗腺を削除するのがワキガ手術です。剪除法、吸引法、皮下組織削除法、切除法、など手法によりいくつもの手術方法があります。
確かにアポクリン腺を削除すればワキガ菌が好む汗は出なくなります。しかし本来汗は出るのが自然です。この汗が出る汗腺を削除するのがワキガ手術です。当然リスクも痛みも伴います。場合によっては傷痕も残ります。以上のようなリスクを伴うのがワキガ手術です。簡単ですがワキガ手術のおおまかな概要をご説明しました。
当然ですがワキガ手術は身体にメスを入れるものです。言葉では伝わり難いので以下にワキガ手術の動画をリンクしました。たとえワキの下といってもメスを入れるということがどのようなものかが良く分かります。実際にメスを入れる非常に刺激の強い動画ですので無理に見ないようにして下さい。
ワキガ手術の画像(動画)
2-3.ワキガ手術のリスク
3-1.でご説明した通りワキガの手術はアポクリン腺という汗腺自体を除去するためワキの下にメスを入れることになります。そのリスクは、傷痕の問題や、執刀医の経験や技術により手術結果が大きく異なる点、さらに痛みや抜糸までに1週間ほどかかったりその他費用も15万~50万程度まで様々です。
そして何よりリスクなのは、覚悟して手術したにも関わらず「臭いが全く消えない」と感じることもありうるということです。この点については心理的側面が大きく影響することがありますので次の3-3.で詳しくご説明させて頂きます。
2-4.手術後の悩み
様々なリスクを覚悟し、高額な費用をかけてワキガ手術したにもかかわらず「臭いが全く消えない」と感じてしまう方が実際にいます。その理由はそもそもワキガ臭でない他のニオイをワキガ臭だと勘違いしていたケースや実はそもそも臭っていないのに手術をしてしまった場合などです。
既にお話しましたがワキガ臭を含め体臭というのは必ず複合臭として発生しています。このため自分が不快なワキガ臭だと思いこんでいたニオイが実はワキガ臭(アポクリン腺の汗を原料とする)ではなく一般的な体臭だった場合、そのニオイの原因はエクリン腺の汗や皮脂の酸化臭ですので、アポクリン腺を削除しても臭いは消えないのです。
2-5.ワキガ臭の心理的影響
アポクリン腺の量や活動量は個人差が大きいため、少量のアポクリン腺があり多少の活動(発汗)があってもほとんどワキガ臭がしない人がいます。しかし「自分は臭いのではないか?」と意識を集中しすぎると、実際は臭っていなくても臭いを感じてしまうケースがあります。嗅覚を含む感覚器官は意識を集中するほど敏感になるのが人間の脳の仕組みです。
これは五感すべてに共通しています。例えば直近で信号を渡った時に止まっていた左右の車の色や車種などを覚えていますか?きっと目には入っていたはずですが覚えていないのは、意識をしていなかったからです。逆に欲しい車があると街で頻繁にその車を目にすることがありますが、それはは欲しい車を意識しているためなのです。
同じように自分は臭いのではないか?とワキの下の臭いに意識を集中しすぎると実際の臭いより過敏に感じたり、場合によっては臭っていないのにクサイと感じてしまうケースまであります。(自己臭症)以上のような場合、そもそもはじめからワキガ臭がしていないのですからワキガ手術をしても臭いが消えないと感じてしまうのです。
以上がワキガ手術をしても臭いが消えないと感じてしまう場合の理由ですが、やはり自分のワキガ臭は強いのではないか?手術しか方法はないのではないか?と感じてしまいがちです。このため次はワキガ手術をする必要があるかどうかの判断方法について確認してみましょう。
3.ワキガ手術するか?しないか?の判断方法
繰り返しになりますがワキガ体質であってもワキガ手術が必要な程、不快な臭いが発生する人は極めて稀です。基本的にワキガ手術は必要ないことがほとんどです。しかし「自分のワキガ臭はきっと手術が必要なレベルかもしれない。」と不安になりがち。このため次は本当に手術が必要かどうかを判断するための知識と確認方法についてお話させて頂きます。
3-1.ワキガとは曖昧なものであることを知る
アポクリン腺が発達している人がワキガ体質ということは既にお話しましたが、ではワキガとはアポクリン腺がどの位の量があるとワキガなのか?どの位の汗が出ると?どの位のニオイがすると?というような決まりは全く存在しません。
医師によるワキガの診断方法も、アポクリン腺の存在や量は確認しますが、アポクリン腺が存在してもそれほど臭わない人もいますので、結局は医師の嗅覚という主観で判断されるのが実態です。ワキガ臭を含む体臭は全ての人に固有にあり存在するのが自然なのです。またワキガは体調を壊すような病ではありませんので、ワキガ臭が出ていても、そのニオイを気にしない人にとてはワキガではないのと同じです。
またワキガを含む体臭は、発生する側のニオイ(複合臭)も千差万別なら、そのニオイを嗅ぐ側の感じ方も千差万別です。中にはワキガ臭は異性にとって非常に魅力的な香りに感じられる場合もある程です。このようにワキガは、そのニオイ自体より本人の意識と気にする度合いにより悩みになったり、ならなかったりと非常に曖昧なものなのです。
3-2.本当に強度のワキガ体質なのか確認する
体臭は誰もが発生するものですがアポクリン腺が少なく、活発でない人はワキガ体質ではありません。アポクリン腺から汗が出なければワキガ臭が発生することはないのです。自分がワキガ体質かどうかを確認する方法は別記事「自分で簡単ワキガチェックして悩みから解放する為の3つの事」という記事に掲載されていますので確認してみて下さい。ご自身がワキガ体質でなければ当然ワキガ手術は必要なくなります。
3-3.ワキガ臭の強さで判断する
ワキガ体質のチェックをした結果、自分がワキガ体質だったら、次は自分のワキガ臭が、どの程度不快なレベルなのかを確認する必要があります。しかしニオイは嗅覚疲労といって継続的に感じているニオイはだんだん鈍感になる傾向があります。要は自分のニオイは自分では分かりにくいのです。逆に前述したように意識を集中(気にしすぎ)すると敏感に感じたりもするので確かめ難いのも事実です。
以上の理由からワキガ臭の強さを確認するには他人に確認してもらうのがベストです。ただ「自分ってクサイ?」とは相談しにくいため以下の2つの方法で確認してみましょう。
3-3-1.家族や親友に確認してもらう
家族や親友に確認してもらう方法がひとつです。質問方法は「臭うか臭わないか」という質問ではダメです。理由は体臭は存在するのが当然のためすべての人にニオイがあるからです。正直に、ワキガで悩んでいることを伝え、「どの位不快と感じるかを教えて欲しい」と正直に相談できる方に確認してもらいましょう。
そして、信頼する相手が「気にする程でもないよ」と言ってくれたら素直に信じ、手術する程でもないと納得できればベストです。その場合は5でご紹介する「効果的ワキガ臭対策」を参考にニオイケアを心がけてみて下さい。
信頼する相手のアドバイスがどうしても自分を気遣っての言葉にしか聞こえない場合や逆に相当強い不快なニオイだと指摘された場合、あるいは信頼できる(相談できる)相手がいない場合を含め不安でしかたない場合は専門医師に確認してもらうのも方法です。
3-3-2.医師に確認してもらう
医師の選び方は後程詳しくお話しますが、どうしても不安が解消されない場合は全く他人でありかつ専門家である医師にワキガ臭の度合いを確認してもらう方法がオススメです。この場合は次に説明する医師選びのポイントを参考にして下さい。
4.手術する場合の医師選びのポイント
ワキガ手術をする場合、医師の選定は慎重に行う必要があります。その理由は2つ。ひとつは手術自体が必要かどうかを判断する経験値、そしてもうひとつは手術自体の技術力です。
手術の必要性や方法を的確に判断できなければ、その時点で手術が失敗と言っても過言ではありません。また判断力があったとしても技術がなければ、はやりきちんとした効果が出なかったり、術後の傷跡など様々な問題が起こりかねません。このように絶対はずせない判断力と技術力の2つの条件を満たす医師(クリニック)をどう選定するかが重要になってきます。
前提として複数(3件程)のクリニックで相談し本当に手術が必要かという問題、さらに手術方法を確認し医師との相性を含め選定することが大切です。
4-1しっかりカウンセリング可能なクリニックを選ぶ
まずは相談だけでも受けさせてくれることが前提条件となります。そのうえで自身が気になっているニオイは本当にワキガ系のニオイなのか、手術する必要があるのかなどを親身に聞いてくれ明確に答えてくれる医師がいるクリニックを選定しましょう。またワキガの悩みは心理的要素を深く絡みあっているケースが多いためカウンセリング経験も豊富なクリニックであることもクリニック選定のポイントとなります。
もちろん大抵の場合は初めて訪れるためどのような雰囲気か、話しを聞いてくれるかなどは分かりません。そのためにも複数のクリニックで相談することを前提としておきましょう。さらに手術方法、費用、保険適用の有無、リスク、痛み、術後のケアなどをきちんと説明してくれ、かつ、心配なことを気軽に相談しやすい雰囲気であることが大切です。
4-2.経験豊富なクリニックを選ぶ
繰り返しになりますがワキガ手術が成功するか否かは執刀する医師の技術力が大きな影響があります。あらかじめクリニックの歴史や執刀医のプロフィールなどをホームページなどで確認しておきまましょう。
基本的にワキガ手術をすることはオススメできませんが、どうしても手術を検討したい場合は、上記2点を参考に納得いくまで相談してから手術に踏み切ることが大切です。
5.手術しないでワキガ臭を効果的に対策する方法
手術をしないでもワキガの臭いが外に出ないような方法があれば、悩みは解決あるいは大きく軽減されませんか?ワキガで悩まれているほとんどの方は他人に自分のワキガ臭が伝わり、不快な思いをさせてしまったり、クサイと思われることが心の負担ではないでしょうか。
しかしワキガ臭対策アイテムと言うと多くの方がワキガクリームやワキガ用スプレーといった自肌に直接アプローチするものが目立ちますが、これらの対策方法では臭いを長時間軽減する事は困難です。理由は単純で自肌に付けたものは汗で流れて効力がなくなるということです。
実はワキガ臭対策はシンプルで効果的な3つの対策で大きな効果を得ることができます。それは1.清潔 2.洗浄 3.衣類臭対策の3つです。特に衣類で防ぐワキガ臭対策は、想像以上の効果を実感されると思います。
もし具体的方法にご興味があれば別記事「ワキガ対策で注意すべき3つの勘違いとベストな2つの対策」で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
6.まとめ
ワキガ手術とワキガ臭対策についてお話してきました。ワキガ手術が必要な程、不快なニオイがする人はごくごく僅かです。ほとんどいないと言っても過言ではないのです。そもそもワキガ臭というニオイも個性であり存在するのが自然なのです。
問題は不快なニオイを拡散してしまうこと。これは衣類の対策と清潔に保つことで充分防ぐことが可能です。どうか身体にメスを入れるというリスクある手術をせずにご紹介したワキガ臭対策によりワキガの悩み解決にお役に立てれば幸いです。