あなたの肝臓は大丈夫?肝機能の悪化が体臭を生む原因と改善する習慣
肝臓が悪くなると体臭が発生する・・・皆さんはこんな話しを聞いたことありませんか?実はこれ、本当のようで肝臓の病気や肝機能の低下によって体臭が発生することはあるのです。
肝臓病の多くは自覚症状が少なく、かなり病気が進行してから気付くことが多いようで、肝臓が“沈黙の臓器”と呼ばれるのはこのためのようです。ですのでもしも検査で異常が見つかった時は、まずは肝臓病の知識や経験が豊富な専門医のもとで治療することが一番になります。
その上で、肝臓の悪化が原因で体臭が発生するメカニズムとはどの様なものなのでしょうか?この記事では肝臓と体臭の関係や肝機能異常のチェック方法などを調べてみましたので、整理してご紹介させていただきます。ぜひ参考にしていただけると幸いです。
Contents
1.肝臓が原因で体臭が発生するメカニズム
肝臓は人体の化学工場と呼ばれるほど人間の体にとって大切な臓器です。そのため肝臓の病気や肝機能の低下は様々な障害をおこしますが肝機能の低下は体臭にも影響を与えます。
では、肝臓と体臭にはどんな関係があるのでしょうか?実は人間には「腸肝循環」といって、腸と肝臓の間で行われる循環システムがあるのですが、食べたものは腸内細菌によってニオイ物質がつくられます。腸内で発生したニオイ物質は一部は便として排出され、残りの大部分は肝臓へ送られ、肝臓ではこれらのニオイ物質を分解・無臭化(無毒化)して尿から排出します。これが正常な腸肝循環です。
ところが肝機能が低下している人は、この腸肝循環が悪化し、ニオイ物質の分解・無臭化ができなくなります。よって本来であれば肝臓で無臭化されるはずのニオイ物質が、そのまま血液へ送られ、汗と一緒に出ることにより不快な体臭になるのです。
以上のように肝機能の低下は体臭が発生する原因になります。では、自分の体臭が肝臓が原因なのかどうかを知る方法はあるのでしょうか?そこで次の章では肝機能の異常は血液検査でチェックできることを、詳しくご紹介していきたいと思います。
2.肝機能の異常は血液検査でチェック
肝臓の病気というとアルコール摂取が多い人というイメージがありますが、今やお酒を飲まない人も安心はできないようです。運動不足や外食が多い不規則な食生活など現代人にならではのライフスタイルのせいで、脂肪肝など肝臓の病気にかかる人が増加しているのです。
人間ドッグ受診者の結果(表1)からも、日本人は3人に1人が肝機能検査に何らかの異常が見られると言われています。また肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、ダメージを受けていても症状が出にくい特徴があり、倦怠感や黄疸など何らかの症状が出て病院にいったときは、重症化していることも少なくないようです。
そこでまずは「脂肪肝チェック」(表2:編集:日本人間ドッグ学会)で、ご自分の生活スタイルを振り返ってみましょう。当てはまるものが1つでもあれば注意が必要です。肝臓に余分な脂肪がたまり肝臓の働きが悪くなっているかもしれません。
次に肝臓の異常を知る方法ですが、これは決して難しくはありません。実は、毎年行っている健康診断の血液検査結果を見れば誰でもわかります。重要なチェックポイントは肝機能に関する数値である「ALT」(旧名称はGPT)の値です。
ALTとは代謝など重要な働きをする酵素のことで主に肝細胞に存在しています。ところが肝臓の異常により肝細胞が破壊されると血液中に漏れ出してしまうのです。つまり、ALT値が高いということは、それだけ肝臓が障害を受けているということを意味しているのです。厚生労働省では、健康診断においてALT値が30を超えた状態が「異常値」だと定めています。(表3)
以上のように、肝機能の異常は健康診断の血液検査結果を見れば簡単にチェックすることができます。1章でも述べましたが、肝機能の低下は体臭にも影響を与えますので、上記のチェックを行い「もしかして」と思ったら、まずは早めに病院に行って専門医の診断に従ってください。
基本的に肝臓の検診をする場合は、内科の中でも消火器内科になりますが、肝臓病の専門医がいる病院もあるようですので、事前に確認をしてから受診することをお勧めします。
3.肝機能を改善する習慣をご紹介
3-1.お酒を飲み過ぎないようにする
お酒のアルコールは体にとっては有害な物質です。アルコールを過剰に摂取すると、分解・無臭化(無毒化)するために肝臓に大きな負担をかけることになります。特に日本人はアルコールに弱い人種と言われています。アルコールによるダメージを受けやすいので、飲みすぎや一気に飲むことは避けるべきでしょう。また、肝臓の機能が回復するために必要な2日間ほどの休肝日を作って肝臓を休ませてあげることも大切です。
アルコール性の肝臓障害を予防するには、お酒の飲み方を工夫することが有効です。オムロン ヘルスケア株式会社のHPに「肝臓に負担をかけないお酒の飲み方」が掲載されていましたので、参考までにご紹介させていただきます。(参考文献:オムロン ヘルスケア株式会社)
●飲みすぎない
悪酔いや二日酔いをしない酒量、つまり自分の適量を知っておきましょう。アルコールに弱い人は、酒席では早めにウーロン茶やお水などに切り替えることが大切です。女性の場合、生理前はホルモンの関係で酔いやすくなるので、酒量を控えめにしましょう。
●ゆっくり飲む
飲むペースが速いと、それだけ肝臓に負担がかかります。肝臓がアルコールを分解する速度は、日本酒1合(ビール大瓶1本、ワインならグラス2杯)に3~4時間とけっこう時間がかかるからです。日本酒1合を30分以上かけて、ゆっくり飲むようにしましょう。
●おつまみを上手にとる
空腹状態でアルコールを飲むと、吸収が速まり肝臓には大きな負担となります。また、肝臓がアルコールを分解するときに、たんぱく質やビタミン類、ミネラル類(とくに亜鉛)が消費されます。そのため、おつまみで大豆食品(豆腐料理、枝豆、煮豆、おからなど)や野菜・果物、ナッツ類を食べ、上手に栄養補給をしましょう。果物に含まれる果糖には、アルコールの分解を助ける働きもあります。アルコールには食欲増進効果があるので、つい脂っこいものを食べたくなりますが、脂肪の多い食品も肝臓には負担となります。
●肝臓を休ませる
肝臓はけっこうタフな臓器で、脂肪肝になっていなければ、2日間くらい休ませると機能を回復するといわれます。よく飲む人でも、週に2日はアルコールを飲まない「休肝日」をつくることが大切です。脂肪肝の疑いのある人は、意識的に節酒して肝臓を休ませてください。
3-2.偏った食事や食べすぎに注意する
脂肪分の多い食事や早食い、過食などは、肝臓に負担をかけて肝機能を低下させる原因となります。 肝臓はたんぱく質でできていて、弱るとタンパク質の消費が増えますから、良質なタンパク質を積極的に摂るようにしましょう。おススメの食材は、大豆食品や脂身の少ないお肉などを活用して補給していきましょう。
3-3.喫煙をしない
タバコのニコチンはとても有害な物質です。タバコの煙に含まれる有害物質は200種類以上あると言われており、毒素の塊と言えます。中でもニコチンはとても有害な物質です。体内に入ったニコチンは肝臓で分解されますが、喫煙者の場合は常に肝臓の解毒作用が働き続けるために肝臓への負担が増加します。
肝臓へ負担がかかり肝機能が低下すると、本来は悪臭を無臭化させるのですが処理がされず、それが血液に送られ汗と一緒に出ることで不快な体臭が発生してしまうのです。禁煙はそう簡単なことではありませんが、「禁煙」をしなければ根本的な改善にはならないので、やはり一番良い方法は禁煙になります。
3-4.便秘を改善する
便秘も腸内に臭い物質を発生させてしまう原因になります。腸内に臭い物質が発生すれば、それを解毒するのは肝臓ですので便秘も肝機能を低下させる要因となります。便秘によって便が腸内に長い間たまってしまうと腐敗・発酵してアンモニアなどのニオイ物質を増やします。
多少のニオイ物質は肝臓によって解毒されて体外に排出されますが、便秘が続いて大量のニオイ物質が生成されると、肝臓の負担が大きくなり肝機能を低下させてしまうのです。
詳しくは「便秘で体臭はクサくなる!今すぐできる応急対策と日常で行う改善方法」参照
3-5.肝機能の向上が期待できる栄養素を摂る
肝臓を正常に働かせるために、ビタミンは欠かせません。肝臓に必要なビタミンのなかでも重要なのが「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンA、C、E。食品では、レバーなどにはビタミンA、ブロッコリーやかぼちゃなどの緑黄色野菜にはビタミンC、ごまにはビタミンEが多く含まれます。スタミナがつくと言われるうなぎには、ビタミンAやEが豊富です。また、亜鉛やセレンなどのミネラルも肝臓での代謝や解毒をする上で必要な栄養素です。牡蠣、うなぎ、レバー、野菜や果物、ナッツなどからしっかり補給するようにしましょう。
5.まとめ
肝臓の病気や肝機能の低下は体臭にも影響しますので、この記事でご紹介したチェック方法を試していただき、異常があれば、まずは専門のお医者さんに診てもらいましょう。また肝臓に負担をかけないように、日常のライフスタイルの見直しも大切ですので、栄養バランスのよい食生活を心がけ、お酒の飲み過ぎや喫煙にも注意していきましょう。