自分の汗からアンモニア臭がするときに考えられる4つの原因と対策
体臭は誰にでもあるものですが、体や汗からアンモニアの臭いがする場合があります。
例えばアンモニア臭と言えば「おしっこ」のニオイが一番わかりやすいかもしれません。もし自分の汗からおしっこのようなニオイがしたら、それは体が発する危険信号である可能性があります。
「最近体臭からおしっこ臭がする気がする・・」「運動した後の汗が何だかおしっこ臭い」という状態に心当たりがあれば、自分の体調や生活習慣を振り返り、改善すべき点はないか確認してみましょう。自分では思いもよらなかった理由が、アンモニア臭の原因であることもあるものです。
この記事では、身体からアンモニア臭がした際に考えられる原因と、それに対する解決法をご紹介していきます。アンモニア臭がするということは、体のどこかが危険信号を発しているということが考えられます。
この記事を読んで頂くと自分に思い当たる原因はないか確認出来ますので、ぜひ最後までご覧いただき、ご自分のアンモニア臭のする汗の問題を解決して下さい。
Contents
1.汗からアンモニア臭がするとき考えられる4つの原因
体や汗からアンモニア臭がする場合、大きく分けて以下の4つの原因が考えられます。自分の体調や状況に思い当たる点がないか、1つ1つ確認していきましょう。
1-1.身体の疲労
アンモニアは、筋肉疲労の回復時や腸内細菌の働きなどにより体内に発生する成分です。
通常健康な人であれば、体内に発生したアンモニアは肝臓で尿素に分解されます。そして毒素がほとんど取り除かれた状態で尿となって体外へ排出され、体内に蓄積されることはなく、もちろん汗からアンモニア臭がするようなことはありません。
ところが、過労などで身体が疲れている場合は、腎臓や腸など内臓のはたらきが弱まり、アンモニアを分解する能力が低下します。
すると、内臓で分解されなかった体内のアンモニアが血液に乗って全身に循環し、皮膚の毛穴から出る汗や皮脂に含まれてしまい、身体全体からアンモニア臭がするということが考えられます。
・腎機能の低下
体からアンモニア臭がする場合、疲労からくる腎機能の低下により、体の中に尿素が貯まり、アンモニア臭が発生している可能性が考えられます。
・血液の流れの悪化
次に考えられる可能性は、体の抹消血管の血液の流れが悪くなった時です。
疲労により血液の流れが悪くなると皮膚の汗腺に十分酸素が供給されませんので、汗腺は、無酸素下の「解糖系」というメカニズムで発汗のエネルギーを得ようとして「乳酸」という物質が汗の中に増加します。
アンモニアは、この乳酸の増加と比例して汗の中に増え、結果的に「オシッコ臭い」汗がでてしまうことがあります。
・腸肝機能の低下
腸のなかで腸肝循環という尿素のサイクルがありますが、身体が疲労している状態では、この肝機能の低下や腸の吸収力が低下していることが考えられます。
また尿素をアンモニアに分解するウレアーゼという酵素が雑菌の繁殖によって増加した場合も、アンモニアが多く生成されることもあります。
1-2.栄養不足
間違ったダイエットなどで身体の栄養が不足している時にも、アンモニア臭がすることがあります。
食事を抜いたり、1日に摂るカロリーを極端に減らしたりすると、体内のエネルギー源である炭水化物、たんぱく質が不足していきます。
すると体は、防御のために、貯蔵している中性脂肪を燃焼させてエネルギーを確保しようとします。このとき、中性脂肪が脂肪酸に変化し、それが汗と一緒に排出されることで、汗くささをより強くしたような脂肪臭が発生します。これが第一段階のダイエット臭です。
更に無理なダイエットを続けると、汗にアンモニア臭が混ざるようになります。体内で生成された疲労物質の乳酸には、アンモニアと一緒に汗の中に出る性質があるからです。これが第二段階のダイエット臭です。
さらにダイエットを続ければ、第三段階として「ケトン臭」という甘酸っぱいニオイが出るようになります。ケトン体は、飢餓や糖尿などで糖分が不足した時に使われるエネルギー源です。ケトン臭は「飢餓臭」とも呼ばれています。
ケトン臭は口臭、汗のニオイ、尿のニオイの順で強く出るようになりますが、ここまできたら危険信号です。基礎代謝がきちんと行われる正しいダイエット法に切り替えましょう。
また、特にダイエットをしていなくても、普段の食事が野菜や魚を中心とした和食ではなく、インスタント食品、コンビニ、ファストフード、欧米化した肉や油を使った料理を日常的に摂取している方の中には、気付かないうちにミネラル不足に陥り、栄養不足になっている場合も考えられます。
1-3.運動不足
日頃から有酸素運動で良い汗をかいている人は、汗腺の導管部というところで汗の原料となる血漿の成分がうまく「再吸収」されるため、汗の成分が水に近くサラサラした感じの「良い汗」をかきます。
しかも良い汗はアルカリ成分の重炭酸イオンが少ないため「酸性」で皮膚表面にて雑菌が繁殖しにくいためニオイになりにくいのです。
ところが、運動不足でたえず空調のきいた部屋ばかりにいる人は、まず皮膚抹消血管の血行が悪くなります。血行が悪くなると汗腺への酸素供給がうまくいかず無酸素下で「解糖系」という方法で汗腺が働くエネルギーを取ります。
この際、「乳酸」という疲労物質が大量に生産されます。この乳酸は汗腺のなかにアンモニアの分泌を増加させる性質があるため「汗くささ」が強くなります。
また、運動不足になりますとちょっと動いただけでも汗がかきやすくなりますがこのようなときの汗もアルカリ性が強く雑菌が繁殖しやすい悪い汗なのです。
1-4.ストレス
上記「1-1.身体の疲労」で取り上げた疲れを感じている人の多くは、ストレスにも心当たりがあるのではないでしょうか。
ストレスの要因は多様です。仕事が忙し過ぎたり、自分にとっては居心地のよくない人間関係のなかに身を置いている、常に人の顔色を窺ってしまう性格など、人さまざまです。
ストレスによる体臭の性質や強さははっきりとしたものではありませんが、体臭対策として、ストレスは避けなければならない大きな要因の一つです。
ストレスは、特に、「皮脂腺」からのニオイ物質の産生を非常に増加させます。
ストレスを受けますと私達の身体は副腎というところから副腎皮質ホルモンや男性ホルモン、アドレナリンといったホルモンを大量に放出さますが、これらのホルモンは皮脂腺の皮脂の分泌をさかんにします。
また、これらのホルモンは皮膚の角質層の新陳代謝をもさかんにし、角質も肥厚させ皮脂腺の導管を閉塞させてしまいます。そうなるとさかんに分泌される皮脂が皮脂腺になかでたまり、活性酸素が発生しやすい状態になります。
活性酸素は脂質を酸化させ過酸化脂質をつくります。この過酸化皮質も脂質を酸化し、さらに活性酸素をつくりさらに過酸化脂質が増加するという悪循環になります。
これは、自動酸化といい、実はニオイの原因物質である短鎖の脂肪酸などがもっとも増加する原因となります。
2.アンモニア臭がする4つの原因を解決する方法
2-1.身体の疲労を取り除く方法
疲労を取り除くには、適度な休養、十分な睡眠、バランスの取れた食事などが一般的です。それに加えて、アンモニア臭が気になる場合は、意識してクエン酸を摂取しましょう。
クエン酸は、酸素下で乳酸を作らない「クエンサンサイクル」というエネルギー供給法の原料ともなり、また腸内ではウレアーゼを産生する雑菌を抑制します。
クエン酸は「酢」に多く含まれていますので、毎日お猪口いっぱいぐらいを摂取することをお薦めします。黒酢や醸造酢など何でも構いませんが、飲みやすいのはリンゴ酢などです。
そして、可能ならお風呂の中に「醸造酢」をコップ1杯程度入れて入浴してください。アンモニアは、アルカリ性のニオイ物質ですので、お酢の酢酸などの酸度が皮膚のアンモニアを中和消臭してくれます。
それでもよくならない場合には、腎臓や腸など内臓のチェックの為に、医師に相談することをおすすめします。
2-2.補うべき栄養の効果的な摂取方法
アンモニア臭の原因が、間違ったダイエットや欧米化した食事などが原因で発生していると考えられる場合は、まずは普段の食事をバランスの取れたものになるように心がけましょう。
サプリメントを摂取する方法もありますが、普段の食事を和食中心となるよう心掛け、加えてミネラルを多く含む食品を摂るようにしましょう。
乳製品、緑黄色野菜、玄米、海藻、ナッツなどを意識してプラスし、出来るだけ加工度の低いもの、無添加、無調整の品質の良いものを摂取すると良いでしょう。
《ミネラルを多く含む食品》
【カルシウム】
チーズ、煮干し、牛乳、がんもどき、水菜、桜海老、木綿豆腐、小松菜、モロヘイヤ
【マグネシウム】
ほうれん草、アーモンド、干しひじき、玄米、大豆、納豆、カシューナッツ、ごま、桜海老
【鉄】
あさり、豚レバー、鶏レバー、干しひじき、がんもどき、小松菜、ほうれん草、納豆、しじみ
【亜鉛】
かき、豚レバー、赤身牛肉、ラム肉、たらば蟹、うなぎ蒲焼、納豆、かぼちゃの種、たらこ、ごま
【銅】
かき、ごま、大豆、あずき、いんげん、煮干し、鶏卵、ソバ粉
2-3.手軽に運動不足を解消する方法
運動不足を解消出来る方法として、手軽に始められるのは、有酸素運動です。有酸素運動とは、過度の負担をかけずに酸素を十分取りこんで、一定の時間以上行う運動のことをいいます。
有酸素運動の代表は、ウオーキングです。他には、ジョギングやサイクリング、水泳などが「軽い負荷」で「一定時間以上継続できる」有酸素運動といえます。体臭予防の観点からは、この「軽い負荷」と「一定時間の継続」ということが重要です。
人間は、運動のためにエネルギーを必要としますが、激しい運動は浅速呼吸となり、肺にまであまり酸素が届きません。無酸素の状態では「解糖系」という方法でエネルギーを取る結果、疲労物質の乳酸が増加し、汗腺のなかにアンモニアが分泌されるのです。
ですから、運動の強さは、十分に酸素が肺にまで到達するような深いゆったりとした呼吸が出来る、軽く汗をかく程度の負荷の運動でなければなりません
代表的な有酸素運動であるウオーキングを行う際のポイントは、ただ漫然と歩くだけでなく、酸素が十分肺に供給されるように胸をはって歩くことを心がけましょう。
つぎに「一定時間以上」ということですが、体臭予防のもうひとつは血液中の「遊離脂肪酸」を減少させるためです。遊離脂肪酸は、「汗臭さ」や「オヤジ臭」の原因となる各種の短鎖脂肪酸やアルデヒドの原料なのです。
有酸素運動では、この遊離脂肪酸が燃焼され血中濃度を下げる働きをしますが、実は運動を始めて最初の20分から30分くらいは、脂肪酸でなく血中のブドウ糖の方を燃焼させてエネルギーにしているので、脂肪酸の量はあまり減少しません。
脂肪酸が燃焼されるのは、20分くらい過ぎてからなのです。ですから、運動は少なくとも30分以上続けて行うことで、より効果が期待出来ます。
2-4.ストレスの軽減方法
ストレスの原因が分かってはいても、即座に解決出来ることばかりではないでしょう。ストレスを劇的に改善することは難しいことも多いものですが、以下の方法はニオイに対してのストレスを軽く出来る可能性がある方法ですので、ぜひ試してみて下さい。
2-4-1.腹式呼吸法を実践する
ストレス臭のもとになる精神性の発汗は、気持ちをリラックスさせれば徐々に減っていきます。腹式呼吸法は、最も簡単で効果的なリラックス法なので、ぜひトライしてみて下さい。
- おなかをひっこめながら、口から息を吐き、体内の古い空気をすべて出しきる。(8秒)。
- おなかの筋肉をゆるめ、鼻から自然に息を吸い、新鮮な空気を肺に満たす(4秒)。
- 肺がいっぱいになったら、息を止め、そのままできるだけ長く息を止める(16秒)。
- 慣れてきたら、それぞれの時間の割合を変えずに長くしていく。
2-4-2.汗を意識しすぎず開き直ってみる
汗やニオイを気にしすぎると、それがストレスとなり、ますます汗が出てしまいます。いっそのこと、「どのくらい汗がかけるか試してみよう」くらいの気持ちで、開き直ってしまうのも手かも知れません。そのくらいの気持ちの余裕を持ってみてはいかがでしょう?
2-4-3.制汗剤の使いすぎに注意する
ニオイが気になるあまり、制汗剤を使いすぎると、真菌(カビ)が繁殖しやすくなったり、皮膚に炎症を起こして別のニオイを発生することも考えられます。汗が気になるときは、制汗作用のあるミョウバンを溶いた湯で、さっと手足浴するのもよいでしょう。
3.まとめ
自分の汗からアンモニア臭がすると「何か重大な病気なのでは・・」と不安な気持ちになると思いますが、疲労やストレスは多くの人に当てはまる問題で、誰にでも起こりうる症状です。
上の4項目にご自身の状態に当てはまるものがあれば対策を試して頂き、それでも解決しないようであれば、医師に相談してみると良いでしょう。