口臭の主な原因は唾液不足!唾液の重要な3つの作用とその対策
あなたの口臭の原因・・・それは「唾液不足」によるものかも知れませんよ。食べ物やアルコールによる口臭は一時的なものですし、虫歯や病気が原因ならば適切な治療をすれば口臭はなくなります。
しかし、これらが原因ではない口臭があります。それは誰にでも起こる治療の必要ない口臭「生理的口臭」です。
口臭の原因は大きく分けて4つあり、①食べ物やアルコールなどによる一時的な口臭、②歯周病や虫歯など口の中が原因の口臭、③内臓の疾患などによる口臭、これらの口臭はそれぞれの原因を解決すれば口臭を抑えることができます。
それでは、最後の1つ④日常生活で誰にでも起こる治療の必要ない口臭「生理的口臭」の対処はどのようにすればよいのでしょうか。実は生理的口臭には「唾液」が大きく関わっているのです。
口の中の環境を整えるのに唾液は非常に重要な働きをしています。ここでは生理的口臭を抑えるために唾液がどのように関わっていてどのような対策をすれば効果的なのかをご紹介していきます。
1.はじめに口臭の4大原因を知る
口臭には大きく分けて4つの原因があります。まずはこの4つの原因を見ていきましょう。
1-1.食べ物やアルコール・タバコなどが原因で起こる「外的口臭」
食べ物やアルコール・タバコなどが原因で起こる口臭のことを「外的口臭」といいます。
食べ物はにんにくやニラなど食べ物に含まれる成分が臭いの原因のもの、納豆やチーズなど食べ物自体の臭いが原因のもの、この他、口に入れるものとして漢方薬や栄養ドリンクなどの薬が原因のものなどがあります。
食べ物に含まれる成分が臭いものや食べ物自体が臭いものが、それらを食べて噛み砕いた際に口の中から直接臭いとなって起こる場合の口臭と、食べ物が胃で消化されたあと、血液によって体内を循環して肺を経由し吐き出される呼気による口臭の場合があります。
アルコールは体内で分解される際に発生するアセトアルデヒドという悪臭成分が主な原因で口臭を発生させます。
たばこはタールという物質がヤニ臭さの原因になります。
1-2.歯周病や虫歯などが原因で起こる「病的口臭(口腔内原因)」
口腔内の歯周病や虫歯などが原因で起こる口臭のことを「病的口臭(口腔内原因)」といいます。
歯周病とは口腔内の歯垢の中にいる細菌によって歯肉が炎症を起こす症状です。歯と歯茎の間(歯周ポケット)に歯垢や歯石が溜まると、溜まった歯垢の中にいる嫌気性細菌の代謝によってガスが発生しこれが口臭となります。
虫歯とはミュータンス菌という細菌が作り出す酸によって歯が溶かされていく症状です。歯の表面に付着した食べ物のカス、特に糖分を多く含んでいるものは、細菌に分解され酸となります。この酸が歯のエナメル質の無機質を溶かすこと(脱灰)により、虫歯となります。
虫歯が進行して神経まで侵食するとその腐った神経が臭いを発します。また歯茎に膿ができたり、腫れて出血することでも嫌な臭いを発生し口臭の原因となります。
1-3.内臓疾患などが原因で起こる「病的口臭(口腔外原因)」
口腔外の呼吸器系疾患や内臓疾患などが原因で起こる口臭のことを「病的口臭(口腔外原因)」といいます。
口腔外原因には以下に示す疾患が重度な場合に口臭を発生させる場合があります。
- 呼吸器疾患:気管支拡張症・肺結核・肺癌
- 消化器疾患:食道憩室・食道ヘルニア
- 鼻咽喉疾患:副鼻腔炎・副鼻腔癌
- 代謝性疾患:糖尿病
- 肝機能障害:ウイルス肝炎・アルコール性肝障害・薬物性肝障害
- 腎機能障害:腎炎・腎不全・腎盂腎炎・腎臓結石
1-4.日常生活で誰にでも起こる治療の必要ない「生理的口臭」
日常生活で誰にでも起こる治療の必要ない口臭のことを「生理的口臭」といいます。
寝起きや空腹時、緊張やストレスから来る口臭などがあります。これら生理的口臭の原因には「唾液」が大きく関わっています。
寝起きに口臭が起こるのは睡眠中に唾液の分泌量が減り、嫌気性細菌が繁殖を繰り返して増殖します。そして口腔内に食べかすや舌に汚れが残っていると、この汚れ成分を嫌気性細菌が分解し口臭の原因物質を多く作り出すため、嫌な口臭が発生するのです。
また、空腹時や緊張しているとき、ストレスを感じている際は「口が渇いている」状態になっている方が多いはずです。これは口腔内の唾液が減少しているためなのです。
これはドライマウスとも呼ばれ、近年増加傾向にある症状だといわれています。唾液は、リラックスしている時に優位となる副交感神経が活発化すると多く分泌されますが、ストレスの増加やスマートフォンなど電子機器の操作時間が長くなったことで、自律神経が乱れ、唾液の分泌が減少している人が増えているといわれています。
2.生理的口臭を抑える「唾液」の重要な3つの作用
生理的口臭を抑える「唾液」の重要な3つの作用 | ||
「抗菌作用」 | 「自浄作用」 | 「保護作用」 |
細菌の繁殖を抑える | 口腔内を清潔に保つ | 粘膜を乾燥から保護する |
では、生理的口臭を抑える「唾液」にはどんな重要な働きがあるのでしょうか?唾液は、主に、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの大きな唾液腺から、1日に1000~1500mlほど分泌されるといわれています。この唾液には「生理的口臭」を抑える次の3つの作用があります。
1つめは、口内細菌の増殖を抑える「抗菌作用」です。唾液にはラクトフェリンなどの抗菌成分が多く含まれ、口から入るウイルスや歯周病菌などを撃退する働きがあります。
2つめは、口の中を清潔にする「自浄作用」です。歯の表面や歯間に付着したプラークや食べ物のカスを洗い流し口腔内を清潔に保つ働きです。
3つめは、口腔内の粘膜を乾燥から保護する「保護作用」です。口腔内の唾液が減少すると嫌気性細菌の繁殖が進行してしまうため、口腔内の自浄作用が低下しないよう粘膜を潤し保護しているのです。
この唾液による3つの作用が効果的に機能すれば、「生理的口臭」は格段に抑えることができるのです。
3.「唾液」の作用を意識して生理的口臭を抑えるための効果的な対策
それでは、「唾液」の作用を意識して生理的口臭を抑えるための効果的な対策をご紹介しましょう。
3-1.就寝時は唾液が減少し細菌が増殖するため、就寝前・起床時に歯磨きを行う
寝起きに口臭が起こるのは睡眠中に唾液の分泌量が減り、嫌気性細菌が口腔内に残った食べ物などの汚れ成分を分解して口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)を多く作り出すため、嫌な口臭が発生します。
これを防ぐためには就寝前に丁寧に歯を磨いて歯垢を取り、口臭の原因となる細菌を減らしておくことが重要です。また、起床時の歯磨きも、睡眠中に繁殖した細菌を取り除くのに効果的です。
3-2.空腹時、緊張時、ストレス時にも唾液が減少するため、唾液の量を増やす工夫をする
空腹時や緊張しているとき、ストレスを感じている際にも口腔内は唾液が減少している状態になっています。唇や舌を動かしたり、耳周辺や顎の下を痛くない範囲で指圧したり、軽く円を描くようにマッサージすると、唾液の分泌を促すことができます。
また、唾液は噛むことで分泌が促進されます。食事の際はできるだけよく噛むように意識しましょう。ガムを噛むのも効果的です。
唾液は副交感神経が優勢になり、リラックスしている時に分泌が多くなります。普段からストレスを感じているといった場合はそれだけで唾液が少なくなりがちです。自宅でゆっくり入浴したり、好きな趣味をするなど、意識的にリラックスする時間を増やすように心掛けましょう。
3-3.カフェイン、アルコールなど利尿作用のあるものを摂取時には、充分に水分を摂る
カフェインやアルコールには利尿作用があり、尿の量が増えて体内の水分をより多く排出してしまい、体が水分不足になります。そのため、口の中の唾液の分泌量も減って乾燥した状態になります。
唾液にはラクトフェリンなど口内の細菌の繁殖を抑えて清潔に保つ働きがある成分が含まれています。しかし、唾液が減ることでこの働きが弱まり口腔内の細菌バランスが崩れて悪玉菌が増えてしまいます。そしてこの悪玉菌が食べカスを分解して悪臭を発生させてしまうのです。
これを防ぐには、カフェインやアルコール摂取時に意識的に水分を多く摂るようにすることです。単純ですが、水分補給することが最も効果的な方法といえます。
3-4.口腔内の乾燥をまねき口臭の原因となる口呼吸の改善をする
口呼吸になると口が乾燥して唾液が減ります。唾液は口の中の細菌の繁殖を抑えたり食べ物などの汚れを洗い流したりする働きがあり、唾液が減ってしまうことによりその作用が低下して口臭を発生させる要因となります。
また、口呼吸になってしまう原因に「鼻が詰まる」症状があげられます。風邪や鼻の疾患「鼻炎」や「副鼻腔炎」などの場合です。このような口呼吸に慣れてしまった呼吸を「鼻呼吸」に改善することが重要です。
まずは鼻で呼吸しやすいように鼻自体の治療を行い改善することです。風邪の一時的な鼻づまりから慢性的な鼻炎や副鼻腔炎など原因はさまざまなので、耳鼻科を受診し適切な治療することです。
口周りの筋肉(口輪筋)の筋力不足も口呼吸になってしまう原因の1つです。近年あまり硬いものを食べない食生活になってきているため、普段の食事から口周りの筋肉が鍛えられず口が緩みがちになって口内が乾燥し唾液が減って口臭を発生させる要因にもなっています。
「噛む」という基本的な運動が口周りの筋力強化には欠かせません。普段の食事から噛みごたえのあるものを取り入れてしっかり噛んで食べるということを意識しましょう。
4.まとめ
このように「唾液」には生理的口臭を抑える重要な作用があります。
私たち現代人はさまざまな原因や生活習慣から唾液が少なくなっている傾向になってきています。このため、虫歯や病気が原因ではない「生理的口臭」の方も増加していると考えられるのです。
日頃からこの「唾液」の重要性を意識して対策すれば、生理的口臭は抑えることができるようになります。難しい対策はありません。ちょっとした意識改革で効果を実感いただけるはずですので是非実践していただきたいと思います。