子供の口臭を治してあげたい親が知るべき2つの原因と対策
毎日しっかり歯磨きして虫歯や歯周病もないのに、子供の口臭がなぜ消えないのかと悩んでいませんか?
子供の口臭は通常、しっかり歯磨きをして歯垢や細菌を減らし虫歯や歯周病がなければ、ほぼ発生しないといってよいでしょう。
それなのにまだ口臭が気になる、消えないといった場合、実は他に2つの大きな原因があるのです。
この2つの原因を理解し早急に適切な対処してあげることでお子さんの口臭を改善し悩みを解消することができます。ここではその2つの原因とそれに対する対策・改善方法をご紹介していきます。
Contents
1.「口呼吸」が原因で起こる口臭
まず1つめに考えられる原因が「口呼吸」です。
人間は口と鼻から酸素を取り込みますが、鼻が詰まると口から呼吸をした方が多くの酸素を取り込むことができて楽なため、無意識に口呼吸の習慣が身についてしまったお子さんが起こしやすい口臭の原因です。
口呼吸になると口が乾燥して唾液が減ります。唾液は口の中の細菌の繁殖を抑えたり食べ物などの汚れを洗い流したりする働きがあり、唾液が減ってしまうことによりその作用が低下して口臭を発生させる要因となってしまうのです。
次の項目に当てはまるお子さんは口呼吸になっている可能性があります。
- 無意識に口が半開きまたは開きっぱなしになっている
- いつも鼻が詰まっている
- 口(喉)が乾きやすい
- よく風邪を引く
- 寝ている時にいびきをかく
1-1.鼻の疾患
では口呼吸になってしまう元々の原因である「鼻が詰まる」症状にはどんなものがあるのでしょうか。
風邪以外の原因での鼻の疾患で考えられるのが「鼻炎」「副鼻腔炎」「蓄膿症」などがあります。
「鼻炎」は花粉やハウスダストなどの原因物質(抗原)によるアレルギー症状が主な原因、「副鼻腔炎」は鼻の奥にある副鼻腔に細菌が感染して膿が溜まる病気、「蓄膿症」は副鼻腔炎が長期にわたり慢性化した症状のことをいいます。
1-2.口周りの筋力不足
口周りの筋力不足も口呼吸になってしまう原因の1つです。
赤ちゃんは授乳期におっぱいを吸って口唇と舌の協調運動によって自然に口周りの筋肉を鍛えています。しかし強く吸わなくてもいい哺乳瓶で育った赤ちゃんは、口周りの筋肉(口輪筋)が発達せず筋力不足のまま成長してしまうため口呼吸になりがちです。
また近年あまり硬いものを食べない食生活になってきているため、普段の食事から口周りの筋肉が鍛えられず口が緩みがちになって口内が乾燥し唾液が減って口臭を発生させる要因にもなっています。
2.「腸や胃の不調」が原因で起こる口臭
もう1つの大きな原因が「腸や胃の不調」です。
2-1.腸の不調
子供の口臭で腸が原因の場合は「便秘」によるものがほとんどです。
子供は野菜を食べるのを嫌がることが多いため、食物繊維が不足して便秘になりがちです。便秘が続くと腸内にたまった便が発酵したり腐敗したりするため、悪臭のガスが発生します。
ですがこのガスは大腸から直接口へ上がってくるわけではありません。大腸から吸収された悪臭のガスが血液に吸収されて肺へめぐり、呼気となって口から出ていくのです。お子さんの口臭でうんち(便)のような臭いがするときはこの便秘が原因と考えられます。
また、幼児期は排便の力不足で便秘になってしまいます。幼児期になると食事も大人と同じものを食べるようになります。しかし、幼児の未熟な胃腸では上手に消化吸収できず便秘になってしまうのです。
学童期の便秘は幼児期の便秘とは少々原因が異なる場合があります。学童期になると「学校での排便が恥ずかしい」といった気持ちや、卒園・入学・進級などといった生活の変化からのストレスなど精神的な原因によって起こる「過敏性腸症候群(IBS)」という病気による便秘の可能性も考えられるのです。
2-2.胃の不調
胃腸からの口臭と聞くと、胃から直接くる臭いと考える人が多いと思います。
ですが、胃と口は弁によって塞がれているので逆立ちをしても胃の物が逆流することはありません。そのため、ゲップなどを除いて通常胃からの臭いが口に上がって口臭になることはないのです。
しかし、この弁の機能が低下すると胃からの臭いが口臭となる可能性があります。
この胃の弁の機能が低下する原因として、「胃食道逆流症(逆流性食道炎)」という病気があります。胃食道逆流症は胃液が食道に逆流する病気で、胃液が口まで上がってくる呑酸という症状が現れます。この際、胃酸・胃の内容物が発する臭いが口臭となるのです。
子供の場合、この病気のケースは確率的には少ないといえますが、次のような症状が見られた場合は注意が必要です。
- お腹の張りや痛み
- 喉の不快感や違和感
- 食事が飲み込みにくい
- 食後の胃のもたれ、不快感、吐き気
- ゲップがよく出る
- 咳がおさまらない
3.「口呼吸」が原因に対しての対策・改善方法
3-1.鼻の疾患の治療
口呼吸に慣れてしまった呼吸を「鼻呼吸」に改善することが必要になります。まずは鼻で呼吸しやすいように鼻づまりや鼻炎などの「鼻自体」の治療を行い改善することです。
風邪の一時的な鼻づまりから慢性的な鼻炎や副鼻腔炎・蓄膿症など原因はさまざまなので、耳鼻科や小児科を受診し適切な治療することが第一です。
鼻炎は花粉などの季節的なものとハウスダストなどの日常的なものがありこれらの原因物質(抗原)を避ける工夫が必要となります。室内や寝具などをこまめに清掃すること、花粉を体内に取り込まないような対策をすることなどが基本的な対策となります。症状の重い場合には耳鼻科での治療が必要となります。
副鼻腔炎も鼻炎と同様に耳鼻科での診察・治療が基本的な対策になります。副鼻腔炎は細菌の感染が原因ですので、薬(抗生物質)の投与や鼻水・膿の吸引・洗浄などが主な治療方法になります。
蓄膿症の治療は基本的に副鼻腔炎と同じですが、薬の長期投与で効果がなく他の対処を用いても繰り返し再発してしまう場合は手術する方法もあります。お子さんの場合はできるだけ家庭でのケア(鼻水の吸引など)で予防を心掛けて手術は避けてあげたいものです。
3-2.口周りの筋力強化
口周りの筋力強化といっても大人のように一定期間集中してトレーニングするようなことは子供には難しいことです。
ですが簡単に遊びながら自然に鍛えることができる方法があります。それは「風船を膨らます」ことです。風船を膨らますことは口輪筋を含む口周りの筋肉を使うため非常に効果的な方法です。
ほかにも口を閉じた状態で頬や唇を内側から押すような感じで舌をぐるぐると回してみてください。少し疲れるくらいまで行います。これも舌と口周りの筋肉を使う運動になります。
また「噛む」という基本的な運動もやはり口周りの筋力強化には欠かせません。普段の食事から噛みごたえのあるものを取り入れてしっかり噛んで食べるということを意識しましょう。
4.「腸や胃の不調」が原因に対しての対策・改善方法
4-1.便秘
子供の便秘はできる限り自然に排便を促すのが最もよい対処法です。
乳幼児は排便のための筋肉が弱く自分の力では排便が難しいことが便秘の原因です。この対策としてお腹のマッサージを行いましょう。へその周辺を時計周りに円を書くように、力を入れ過ぎないように注意しながら3~5回程度、硬くなった腸やお腹周りの筋肉をほぐしてあげるようなイメージで行います。直接子どものお腹に触って行うので、手の温かさがお腹に伝わって、より腸の働きを活性化させやすくなります。
他には綿棒などで肛門へ直接刺激をして便意を促すといった方法などもあります。
学童期の便秘対策は「排便は恥ずかしいことではない」という意識を持たせるなど過敏性腸症候群の原因となる「ストレスの軽減」がポイントです。日頃の生活から充分な水分補給や食物繊維の多い食事を摂り、決まった時間にトイレに行く習慣などを心掛けてあげるようにしましょう。
これらの改善をしてもなかなか便秘が改善しない場合は「腸内環境の悪化」が原因に考えられます。腸内に増えてしまった悪玉菌を減らし腸内環境が整うと便秘が短期的に改善される場合があります。
悪玉菌を減らすには、善玉菌を含んだ食品を摂るのが最も手軽な方法です。
善玉菌には大きくわけると腸内環境を整える主役の善玉菌【ビフィズス菌】とそのサポート役となる【乳酸菌】の2つがあります。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含むのは、ヨーグルト・乳酸菌飲料・味噌・漬物などの「発酵食品」です。とくにヨーグルトには豊富に含まれているので毎日の食事に積極的に摂り入れましょう。
さらに、善玉菌のエサとなる【オリゴ糖】や【食物繊維】をしっかり摂ることも大事です。オリゴ糖や食物繊維はごぼう・玉ねぎ・エシャロット・にんにくなどに多く含まれています。これらは善玉菌を増やすだけでなく、便をやわらかくする効果もあるので特にオススメです。
しかし注意点としてヨーグルトには脂質、乳酸菌飲料には糖質が多く含まれているので、カロリーを摂り過ぎないよう気を付けましょう。
4-2.胃
腹痛や喉の違和感、咳が止まらないなどの症状があるなどの症状が見られたら、早急に小児科や消化器内科を受診し、胃腸などの内臓の疾患がないか診察を受けましょう。
また日頃の生活からできる対策としては、胃に負担を掛けないよう食事の量を過度に摂り過ぎないようにすることや就寝の2~3時間前は食事を避けるようにしましょう。
生姜には胃のむかつきを静める効力があるので、手作りしたクッキーやケーキに混ぜて入れたり、生姜と砂糖・はちみつ・レモン汁などをまぜた生姜茶を作り食事中または食後に飲むとよいでしょう。
5.まとめ
子供の口臭は、この大きな2つ原因で発生する場合があることをご理解いただけたでしょうか。
毎日接しているお子さんの様子を注意深く見て、異常に気がついたり当てはまる要因があればそれに対する対策を行い、それでも改善できない場合にはご紹介した病気の可能性も考えられるので、できるだけ早く医師に相談して解決を目指しましょう。
是非これらを実践して嫌な口臭から大切なお子さんを守ってあげてください。