あなたの加齢臭は口臭かも?爽やかな息にするための3つのポイント
加齢臭が気になる年代になると、同時に口臭も気になることはありませんか?誰しも多少の口臭はあるものですが、年齢を重ねると口臭も強くなってくるのではないかと思う方も多いのではないでしょうか。
実際に、加齢による口臭が発生する可能性は充分に考えられます。これにはいくつかの原因が挙げられますが、その中でも「唾液不足」による口臭が最も可能性が高い原因として考えられるのです。
唾液は口内の環境を整える様々な働きを持っていますが、加齢によって唾液が不足することでその働きが低下し、口臭を発生させる可能性が高くなってしまうのです。
ここでは、この唾液不足による口臭の発生する原因を理解し、適切な対処法を実践することで、加齢による口臭を抑えられることをご紹介しております。是非ご参考にしていただきお役立てください。
Contents
1.加齢による口臭は「唾液不足」が主な原因
加齢によって口臭が発生する最も可能性の高い原因として考えられるのが、「唾液不足」によるものです。
唾液は口臭を抑えるための様々な働きを持っており、加齢によって唾液が不足してくることによって、口臭が発生してしまうと考えられるのです。
唾液の分泌量は30歳頃にピークを迎え、その後は徐々に減少していく傾向になります。これは、体から加齢臭が発生し始めるのとほぼ同じ時期にあたるため、口臭も加齢によって発生するのではないかと考える方が多くなるようです。
※出典: J Oral Pathol Med 30 328-35, 2001 より改変
ですが、体から発生する加齢臭と口臭とでは、発生のメカニズムが全く違います。
加齢臭の発生については「加齢臭とは?発生のメカニズムと臭いを抑えるための予防と対策」にて詳しくご説明しておりますのでこちらでご確認ください。
では、唾液にはどんな作用があり、加齢による口臭とどのような関係があるのか解説していきましょう。
1-1.「安静時唾液」と「刺激時唾液」
唾液は、何もしていなくても自然に分泌される「安静時唾液」と、食事をしたり匂いを嗅いだときに反射的に分泌される「刺激時唾液」があります。
刺激時唾液は年齢を重ねても分泌量に変化が少ないことがわかっています。しかし、安静時唾液は加齢によって唾液腺の細胞が減少することなどに比例して、年々少なくなるといわれています。
1-2.唾液の3つの作用
唾液は、主に、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの大きな唾液腺から、1日に1000~1500mlほど分泌されるといわれています。
この唾液が分泌されることで口の中の環境を整え、トラブルを防いでくれる働きがあります。その働きとは、次の3つの作用からなるものです。
1つめは口内細菌の増殖を抑える「抗菌作用」です。唾液にはラクトフェリンなどの抗菌成分が多く含まれ、口から入るウイルスや歯周病菌などを撃退する働きがあります。
2つめは口の中を清潔にする「自浄作用」です。歯の表面や歯間に付着したプラークや食べ物のカスを洗い流し口内を清潔に保つ働きです。
3つめは口内の粘膜を乾燥から保護する「保護作用」です。口内の唾液が減少すると嫌気性細菌の繁殖が進行してしまうため、口内の自浄作用が低下しないよう粘膜を潤し保護する働きがあります。
加齢によって先にご説明した安静時唾液が減少することによって、唾液の3つの作用の働きが低下し、口臭を発生させてしまうと考えられるのです。
2.唾液不足を補うために行う3つのこと
加齢による唾液不足を補うために、次にご紹介する方法を実践することで口臭を防ぐことができます。安静時唾液の不足を補うには、刺激時唾液を意識的に増やすことが基本的な対策となります。
2-1.舌の運動と唾液腺のマッサージを行う
はじめにご紹介するのが、唾液の分泌を促すのに有効な舌の運動です。
舌を動かすと多くの唾液が分泌されます。様々なメディアでも、舌の動かし方が紹介されていますが、筆者が実際に行ってみた最も簡単で効果的に感じたのが、「ラララララ」と言うだけの方法です。
「ラ」の上あごを舌で細かく弾く動きによる発声(実際には発声しなくても効果は同じ)は、唾液が出るのを非常に実感できました。
もう1つの方法が、多くの歯科医も薦めている唾液腺のマッサージです。以下の解説のようにマッサージを行うことで唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促す効果があります。
1.耳下腺(じかせん)への刺激
人差し指から小指までの4本の指をほおに当て、上の奥歯のあたりを後ろから前へ向かって回す。(10回)
2.顎下腺(がっかせん)への刺激
親指をあごの骨の内側のやわらかい部分に当て、耳の下からあごの下まで5ヶ所くらいを順番に押す。(各5回ずつ)
3.舌下腺(ぜっかせん)への刺激
両手の親指をそろえ、あごの真下から舌を突き上げるようにゆっくりグーッと押す。(10回)
2-2.水分を充分に摂る
次に、唾液不足を補うため基本であり重要となるのが、水分を充分に摂ることです。
体内の水分が不足していると、当然口内に分泌される唾液の量も減ってしまいます。一度に多くの量を摂るのではなく、こまめに水分補給することを習慣づけるよう心掛けましょう。
ですが、水分補給するうえで避けるべき飲み物があります。コーヒーや濃いお茶類(ウーロン茶や紅茶など)、そしてアルコールです。
これらは利尿作用があるため水分補給する際の飲み物には適していません。水分補給には利尿作用のない、水または麦茶を選ぶようにしましょう。
また、就寝時は唾液の分泌量が減少し口内の細菌が繁殖しやすくなるため、寝る前にコップ1杯の水を飲んで水分補給しておくとよいでしょう。
2-3.食事はよく噛んで食べる
刺激時唾液は、食事の際に多く分泌されます。
現代の食生活は、柔らかい食べ物が多いため、昔に比べて噛む回数が非常に少なくなってきています。唾液の分泌を促すためには、噛む回数を増やし、よく噛んで食べるということが重要です。
また、加齢による顎や口の周りの筋力の低下も要因の1つです。咀嚼力いわゆる噛む力が弱くなることによるものです。
「噛む」という基本的な運動が顎や口の周りの筋力強化には欠かせません。普段の食生活から、噛みごたえのある食品を摂ることで噛む回数を増やすことを心掛けましょう。
更に、食事と食事の間にはガムを噛むことをおすすめします。ガムを噛むことでの刺激時唾液の分泌を促進できるうえ、固めのガムを選んで噛むと加齢により低下した顎や口の周りの筋力強化にも効果的です。
口臭とガムの関係については「ガムで口臭を防ぐには「噛むことの作用」が重要な3つの理由」にて詳しくご説明しておりますので是非ご覧ください。
3.その他に考えられる加齢による口臭の原因とその対策
加齢による口臭の中で、唾液の不足によるものが最も多い原因であることはご説明しましたが、それ以外に考えられるのが次の2つの原因による口臭です。
3-1.歯周病や虫歯
【原因】
歯周病や虫歯などがある場合、口臭を発生させる原因になります。
歯周病とは口内の歯垢の中にいる細菌によって歯肉が炎症を起こす症状です。歯と歯茎の間(歯周ポケット)に歯垢や歯石が溜まると、溜まった歯垢の中にいる細菌の代謝によってガスが発生しこれが口臭となります。
虫歯とはミュータンス菌という細菌が作り出す酸によって歯が溶かされていく症状です。虫歯が進行して神経まで侵食するとその腐った神経が臭いを発します。また歯茎に膿ができたり、腫れて出血することでも嫌な臭いを発生し口臭の原因となります。
【対策】
歯周病や虫歯になってしまった場合、自分で治すことはできませんから、まずは歯科医院で診察を受け、歯科医師の判断を仰いだ適切な治療を受け完治を目指しましょう。
さらに治療が済んだ後も、年に1度は歯科医院で歯周病や虫歯がないかチェックを受け、クリーニングを行うなどのアフターメンテナンスを続けることが大切です。
また、歯周病や虫歯にならないためにも、日頃から口内の細菌や汚れ、食べかすなどを除去し、口内を清潔に保つことが非常に大切です。
それには毎日行う歯磨きが基本となります。ここでは正しい基本的な歯磨きの方法をご説明しましょう。
はじめに一回に使用する歯磨き粉の量ですが、毛先にほんの少し、多くても1cm程度で十分です。付ける歯磨き粉の量が多いと泡立ち過ぎて、細かいところが磨けていなくても短時間ですっきりした「つもり」になってしまい磨き残しの原因になります。
歯ブラシの持ち方は、手のひらで握ると力が入り過ぎて歯や歯茎を傷つけてしまう恐れがあるので、それを防ぐため鉛筆を持つようにして磨きます。そして歯と歯ブラシが直角に当たるように磨くのが基本です。
歯の1~2本に毛先を当てて細かく動かし10~20回程度磨きます。また毎回決まった箇所を決まった順番で磨くと磨き残しを防ぐことができます。これを口全体に行い10~15分程度掛けて丁寧に磨きましょう。
3-2.口呼吸
【原因】
人間は口と鼻から酸素を取り込みますが、鼻が詰まると口から呼吸をした方が多くの酸素を取り込むことができて楽なため、無意識に口呼吸の習慣が身についてしまった方が起こしやすい口臭の原因です。
口呼吸になってしまう原因には、主に鼻が詰まる疾患(鼻炎など)のほか、口の周りの筋力が弱い場合や歯並びが悪い場合に口が開きやすくなってしまう、肥満により気道が狭くなるなどの原因があります。
口呼吸になると口が乾燥して唾液が減ります。唾液は口内の細菌の繁殖を抑えたり食べ物などの汚れを洗い流したりする働きがあり、唾液が減ってしまうことによりその作用が低下して口臭を発生させる要因となってしまうのです。
【対策】
口呼吸を改善するには、口呼吸に慣れてしまった呼吸を「鼻呼吸」にする対策を行うことが重要です。まずは口呼吸の最も多い原因と考えられる鼻づまりや鼻炎などの症状の治療を行うことをおすすめします。
風邪の一時的な鼻づまりから慢性的な鼻炎や副鼻腔炎・蓄膿症など原因はさまざまなので、まずは耳鼻科を受診し適切な治療することが第一です。
鼻炎は花粉などの季節的なものとハウスダストなどの日常的なものがあり、普段の生活からこれらの原因物質(抗原)を避ける工夫を行うことも大切です。
室内や寝具などをこまめに掃除すること、マスクを着用し花粉を体内に取り込まないようにすること、帰宅時には家に入る前に衣類に付いた花粉を払い落とすなどの対策を行いましょう。
4.加齢による口臭におすすめのアイテム
最後に、加齢による口臭におすすめのアイテムをご紹介しましょう。
噛むと唾液の分泌を促進できる「ガム」、口内の細菌や歯垢を取り除く「歯磨き粉」や「マウスウォッシュ」などがあります。
これらのアイテムについては「口臭予防アイテムを効果的に使う事の重要性と具体的予防方法」にて詳しくご説明しておりますので是非ご覧ください。
5.まとめ
加齢によって唾液が不足して起こる口臭は、ご紹介した対策を実践し唾液の分泌を促進させることが重要であるのをご理解いただけましたでしょうか。
先にご紹介した原因の他にも、ストレスや服用している薬の影響によって唾液が減少してしまう事もあります。
いずれの場合も、唾液の不足を補うには水分補給と口内に唾液が分泌される方法を日頃から意識して行うことが大切です。
近年では、口臭の対策はとても大切なエチケットになっています。是非、こちらをご参考にしていただき、口臭を気にしない毎日をお過ごしください。