職場の人のきつい体臭!傷つけず円満に解決するための2つの方法
職場の人の体臭がきつくて困っている。しかし、どう相手に伝えたらいいのか、解決したらいいのか分からない。そういう悩みを抱えていませんか?
臭いは職場の環境に関わる深刻な問題です。同時に、不用意に対応すると傷つけあう結果になりかねませんので、問題の解決に苦慮している方も少なくありません。それなのに、体臭についての正しい知識、問題解決の方法を知らない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、体臭の一般的な原因と同時にあまり知られていない隠された原因、職場でそれを指摘する場合の問題点、対策を取りあげます。
そして、多くの職場の悩みである、他人の体臭への正しいアプローチの仕方をお伝えしますので、トラブルになることなく、円満に職場での体臭問題を解決しましょう。
1.体臭問題、スメルハラスメントの現状
大勢の人が同じ空間で長時間過ごす会社では多くの問題が起こります。その1つとして最近取り上げられるようになったのが体臭の問題、「スメルハラスメント」です。
1-1.6割以上が同僚などの臭いや体臭を気にしている!?
「スメルハラスメント」の現状を知るために、男性化粧品メーカーの「マンダム」が2017年5月に調査を行っています。
25~49歳の男女の会社員1,028人にアンケートを実施したところ、6割以上の人が「同僚などの体臭や口臭が気になる」と回答していました。半数以上の人が大なり小なり同僚などのきつい体臭を問題視しているわけです。これは、社会問題と言ってもいいのかもしれません。
1-2.職場の体臭・口臭問題は、人間関係の悪化、パフォーマンスの低下、離職も
職場の体臭・口臭問題は、ただ不快だというだけではすみません。相手を不快な気持ちにさせることによって、職場内の人間関係に悪影響を及ぼします。
人によっては気になりすぎて集中できず、仕事の効率が悪くなることもあるでしょう。相手に告げることができずに耐えきれず離職してしまうケースもあります。
1-3.他人の体臭問題解決は難しい
自分の体臭が気になる場合は、自分自身で対策することは可能です。しかし、他人の体臭問題についてはそういうわけにいきません。例えば、食生活が体臭問題と関わっているケースがありますが、他人の食生活を変えることなど不可能です。
1-4.他人の体臭を指摘することは、人権侵害になりかねない
他人の体臭問題解決には、まず体臭が気になる本人にそのことを伝えねばなりません。しかし、それが簡単ではありません。
上司から部下に対してであっても、伝え方によっては相手を傷つけてしまい人権侵害になりかねないでしょう。場合によっては、セクハラにあたると言われる懸念もあります。
多くの職場で問題視されており、取り組む必要性があるスメルハラスメントです。しかし、非常にセンシティブな問題であり、慎重に取り扱わなくてはいけません。
トラブルを防ぐために、体臭についての正しい知識、会社での対策、相手への伝え方を学ぶ必要があるのではないでしょうか。
2.一般的な体臭の原因
体臭にはさまざまな原因があります。以下は一般的体臭の原因です。
2-1.日本人では極めて少ないワキガ
ワキガの原因は汗です。人間の汗腺はアポクリン腺とエクリン腺の2種類ありますが、アポクリン腺からの汗は糖質や脂質、アンモニアなど細菌が繁殖しやすい栄養分が豊富です。そのため、アポクリン腺が多い場合、細菌が増え、臭いの元になります。
体臭が気になるというと多くの方は、このワキガという言葉を思い浮かべるかもしれません。しかし、日本人でワキガ体質である方は欧米の方が70~90%であるのに対して、わずか10~15%にすぎません。
ワキガはアポクリン腺を取り除く手術によって改善が可能ですが、自分自身でワキガだと思っていても、実際はワキガではない方もいます。
2-2.中年期から目立ちはじめる加齢臭
加齢臭とは中高年以上の人特有の臭いのことを指します。加齢臭というと男性のみというイメージもありますが、閉経後の女性でも加齢臭が発生します。
加齢臭の原因は、ノネナールという物質で、それは老化が進むことによって増加するフリーラジカルという物質が増えることで皮脂腺の中発生しやすくなります。よって、40代以降、中年期から、目立ちはじめるのです。
また、タバコの臭いは、オヤジ臭いというイメージが強く、喫煙者の場合、それと相まって強く加齢臭を感じさせてしまいます。
2-3.汗自体ほぼ無臭。汗臭さとは?
サウナでいくら汗をかいても臭うことはありませんが、それはたくさん汗をかいてもすぐに蒸発してしまうからです。
つまり、汗自体ほとんど臭うことはないのですが、汗が蒸発せずに、下着や服などについた汗の成分を栄養にして細菌が繁殖することで臭いが発生します。また、皮脂も細菌の栄養となり、同じくきつい体臭の原因となってしまいます。
2-4.香料の香り、食べ物の香り
汗、皮脂など人間の身体由来以外に人工的な臭いも時にはスメルハラスメントとして取り上げられます。
香水、コロン、アロマテラピーなど、本人にとって心地良い香りでも他人とってはそうではないこともあるでしょう。整髪料、シャンプー、リンス、最近問題視されているのは洗濯の際の柔軟剤などもあります。香辛料だけではなく、においの強い食べ物にも注意が必要です。
2-5.肥満と体臭の関係
五味先生によると、肥満の方は体温が上がりやすいので、それを下げるために汗をかきやすくなり、さらに、運動不足の場合、その傾向は強くなるとのことです。運動不足だと乳酸が汗のなかに増えるようになり、それが臭いの元になることもあるようです。
3.隠れた体臭の原因
きつい体臭の原因には以下のような、分かりにくく、複雑なものもあります。
3-1.気にしているからこそ臭いが悪化する精神性発汗
自分の体臭を日頃から気にかけて万全の対策を講じていれば本来は体臭の悩みはないはずです。しかし、実は絶対にそうだとは言えません。緊張したり、焦ったりすると熱くもないのに汗をかくことがありますが、これを精神性発汗と言います。
この汗は糖質や脂質、アンモニアなど細菌が繁殖しやすい栄養分が豊富であり、臭いの元になりやすい汗です。体臭のことを過剰に気にしている場合、この精神性発汗が多くなる方もいますので、気にしすぎこそが体臭の原因になってしまうこともあるのです。
3-2.体臭は自分のみ由来ではなく、複合臭である
場所によって体臭がきつく感じてしまう、そういう場合もあります。例えば、人が集まる場所、密集した電車の中や室内のみ不快な臭いと感じることも実際にあります。
体臭はその人の体や衣服だけではなく、空気中に浮遊している他の人の臭い、室内に置いてあるもの、それが合わさってその人の体臭と認識されます。だから、その人がいる場所によって体臭がきつく感じることもあり得るのです。
3-3.体臭は主観的なもので、曖昧でもある
欧米人のワキガ率は70~90%で大多数がワキガという状態です。臭いは嗅ぎ続けることで次第に慣れ、何も感じなくなります。よって、ワキガが大多数の国では、日本人のように問題視することはありません。
また、においを感じるのは脳の中にある大脳皮質という部位ですが、そこには人それぞれの経験、知識、健康状態に応じた情報があり、そのにおいをどう感じるかは人によって違うのです。自分の臭覚が誰にとっても絶対に確かな基準ではないのです。
体臭は人それぞれ感じ方が異なると考えるべきでしょう。
3-4.食べないダイエットも体臭の原因になる
運動をせず、食べないダイエットも体臭の原因になります。運動して代謝アップを図ることなく摂取カロリーを極端に減らしてしまうと、血中の糖の濃度が低下し、ケトン体が増加してしまいます。このことが、体臭に影響を及ぼすことがあるのです。
4.トラブルに発展させない、会社内での体臭問題解決方法
これまでご説明した体臭に関する正しい知識を持った上で、会社内では慎重に体臭問題解決に当たりましょう。ここからはその具体的な方法についてご紹介していきます。
4-1.会社全体で行うスメルハラスメント対策
会社内では個人的にスメルハラスメント対策にあたることはリスクが大きいです。理想は以下のように会社全体の問題として取りあげ、解決に当たることです。
4-1-1.スメルハラスメントについての研修を行う
会社全体で問題を認識することによって事前の対策が可能です。
4-1-2.室内の定期的な換気、空調設備も充実を図る
長時間多くの人が同じ空間にい続けることで臭いが増すこともあります。空気を入れ替えることも環境整備の1つです。
4-1-3.スメルハラスメントの相談窓口を設ける
相談窓口を設け、担当者が適切に対処することによって二次被害を防ぐことができます。
4-2.個人的に体臭について指摘する際の3つのポイント
会社はスメルハラスメントに対する認識はなく、上司などにも相談しづらいけど、早急に解決したい。個人的に相手に対して体臭を指摘することは難しいことですが、以下のポイントを踏まえて対策しましょう。
ポイント1.体臭問題を指摘するリスクを認識する
今までかなり不快だったのに我慢してきた方の場合、つい感情的になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、相手に体臭のことを指摘する際は冷静になってください。体臭がきついと伝えられることは、相手にとって大きなショックとなることがあります。
お互いの関係が悪くなることもありますし、指摘した側が非難されることもあるのです。気軽に伝えられないことだと認識し、時と場所を選ぶようにしましょう。
また、異性に対して体臭についての指摘することはセクハラを受けとられる危険性があります。相手が異性である場合は、職場内で信用ができる異性の方に相談し、指摘してもらうほうがいいでしょう。
ポイント2.明らかに不衛生が原因の場合、きちんと指摘することも大切
出社する際、他人を不快にさせないよう身だしなみを整えることは社会人として最低限のマナーです。
それを無視して、洗濯した洋服を着ていない、歯みがきをしていない、髪を洗っていないといった明らかに不衛生な方には、特にあなたが上司で監督する立場にあるなら指摘しても良いでしょう。しかし、その際も人格を傷つけることのないよう配慮が必要です。
ポイント3.本人が努力しているのに、体臭が気になる場合は十分な配慮を
身だしなみがきちんとしているのに体臭がきつい。そういう場合は、本人の努力によって直ぐに対策できないこともあり得ます。
また、元々気をつかえる人の場合、言い方によっては指摘されたことを気に病み落ち込んでしまうこともあるでしょう。そうならないように、一緒に対策を考えるなど、あくまで心配し、歩み寄る姿勢が大切です。
5.まとめ
スメルハラスメントの問題は一筋縄ではいかない、極めてセンシティブな問題です。会社全体の問題として対策としてとらえ、正しい知識を持ち、お互い一方的に攻め合わないことが大切です。